取締役会を置かない会社において、
「代表取締役から平の取締役に変更したい」
つまり、
「取締役としては残るけれども、代表取締役だけを辞任したい」
という場合に、会社の定款の定め方によっては、辞任の意思表示によって辞任することができない場合があります。
取締役会を設置していない会社の場合、代表取締役の選任パターンとしては次の4通りが考えられます。
①定款に「取締役の互選」の定めがある … 代表取締役を取締役の中から過半数で決定する
②定款に「株主総会で決定する」旨の定めがある … 株主総会の決議で決定する
③定款に直接代表取締役が定めてある … 定款の変更(株主総会の特別決議)で決定する
④定めがない … 取締役全員に代表権がある(取締役全員が代表取締役)
このうち①については、取締役会が設置されている会社と同様に、代表取締役のみの辞任の意思表示が会社に到達すれば、代表取締役の地位のみの辞任が可能です。実務から見れば、辞任届を会社に提出すればOKということです。
②と③については、取締役たる地位と代表取締役たる地位が一体となって決定されるため、辞任の意思表示では辞任できず、②であれば株主総会の決議が、③であれば定款変更(株主総会特別決議)が必要になります。
④については、取締役=代表取締役ですので、代表取締役のみの辞任は出来ません。
一例として、社長がご子息(現在は平取締役)に代表権を譲って、代表権のない会長(取締役)で残る、という場合で考えてみます。
上記の①の場合は、現社長が代表取締役を辞任する旨の届けを会社に提出。
取締役の会議を開いて、ご子息を代表取締役に選定する決定をする。
②の場合は、株主総会を開催して現社長が代表取締役を辞任することを承認することと、ご子息を新代表取締役に選定する決議をする。
③の場合は、株主総会を開催して、定款を、代表取締役をご子息とした内容に、定款変更する特別決議をする。
という流れになると思います。
株主が現社長1名であったり、株主と取締役が同一人物、である場合、手続きの手間にあまり差はないでしょう。